折から来日したジョージ・ハート先生を囲んで、形シューレが行われた。1月4日お正月気分も抜けずに参加したが、数々の楽しく珍しい発見があり、京都の町を少し深く知ることが出来た。形シューレは形の科学会の主催。合宿等を通したざっくばらんな意見交換や勉強の会だが、今回はお世話人の京都大学名誉教授宮崎興二先生と、ニューヨーク・ストニー・ブルック大学教授ジョージ・ハート先生が2本の柱となった多次元多面体への門が築かれて、多次元多面体のことをまったく知らない私も含めて、知らぬ間に多次元への門をいくつも潜り抜けていたという楽しく、不思議な体験をした。
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1月4日 1時 八坂の塔集合:八坂の塔の前で形の科学会の参加者を待っていると、八坂の塔のお坊さんが出てきて宮崎先生に、「五重塔とプラトンの先生ではないですか?」と聞く。「以前テレビに出られた先生ですね?」宮崎先生は、「京の幾何学」という連載記事を新聞に掲載され、テレビでもお話されたことがある。彰国社の「『かたち』の謎解き物語」という本の中で、身の回りにあるもの全ての形を捉えて大変興味深い考察をされている。この本を読むと、物を見る目が変わり、身の回りの物を観察するのが楽しくなる。この日、三々五々十数人が集まって、まず舞扇堂へ。お扇子の絵付けをするのだ。普段絵を描く機会はあまりないけれど、それは、なにかわくわくする時間だ。それはじっと描くという作業と、描いているものを見つめるという作業に没頭し、他のことは一切頭をよぎらない時間だからではないだろうか。 |
舞扇堂で宮崎先生は、上手に見える絵を描くこつや、昔の日本の扇を使った和算についても、図を用意して説明してくださった。扇が120度開くことを利用して、それ自体が幾何学の問題であり、きれいな図形になっている。絵付けをしている参加者を眺めながら、「フフフ、皆さん、私が最初やったことをやっていますね」と先生は楽しんでいる。どの参加者も、迷わずただちに作図に入り、さすがものすごい集中力で取り組んでいる。どれも魅力的な絵柄だ。ジョージ・ハートさんも、お気に入りの多面体をいくつか描いている。しかし、人の作品を見て感心している場合ではない。私は宮崎先生の見本を真似て、放物線上に4原色の円を描いた。幼稚な絵柄で恥ずかしいが、仕方がない。複雑な絵柄では、ぼろが出るというものだ。単純なのが良いのですよと、舞扇堂のお姉さんがなぐさめてくれた。今日、出来あがった扇が届いた。大自己満足。 |