応用編
一通り説明書通りに作ることが出来たら、今度は違う形にもチャレンジしてみましょう。
今回は、ブログでも紹介したことがある「菱形三十面体」の一部から、
準結晶の二次元投影に挑戦です!
ちょっと手探りの所もありますが・・・
まずは菱形三十面体を作ります。
「結晶学キット」の内容量では途中で分量が足りなくなってしまうので一部だけ作ります。
赤ストラット25本とノード16個で菱形が10面出来ました。お花の周りにふちどりがあるような形ですね。
これが3倍になると菱形三十面体です。
写真では分かりにくいかも知れませんが、これは横から見るとドーム状になっているんですよ。
これを見ながら青ストラットで平らな形を作ります。
青ストラット25本とノード16個でお花の周りにふちどりがある「平面」が出来ました。
よくみると2種類の菱形で出来ていることが分かります。
今度はこれをちょっとずつ広げていったり、外していったりしてみます。
すると・・・
こんな感じになりました。
2種類の菱形で平面が埋め尽くされています。
そしてこれを見ながら初めに作った赤ストラットのドームにストラットを足したり減らしたりすると・・・
こうです!
どうですか?上の青ストラットで作った平面と比べてみて、似ているんじゃないでしょうか?
実際には横から見ると波のようにうねっているんですよ。
結晶の中の原子の並び方というのは
写真であったり、コンピュータの画面であったりと、平面でしか見ることが出来ません。
イスラエルのダニエル・シェヒトマンは
あるときアルミニウムとマンガンの合金を電子顕微鏡で観察して
10個の点(原子)が規則正しく同心円状に等間隔で並んでいるパターンを見つけました。
原子を結んだ時に出来る2種類の菱形が平面をぴったり埋め尽くしている並び方です。
(ちょうど青ストラットで作った平面のモデルのように)
そしてこれが立体の菱形三十面体の一部(赤ストラットで作ったモデル)を
平面に投影した形であると気づいたのです。
そのころ(1984年)のダニエル・シェヒトマンの写真がこちらです。
手前にいる髭の男性がダニエル・シェヒトマンです。
そして彼が指しているこのモデルこそが
ゾムツールのプロトタイプで作った
菱形三十面体なのです。
この発見は結晶学の世界に大きな衝撃を与えました。
それまで考えられていた結晶構造とは全く異なる、
不可能とさえいわれていた構造の存在が明らかになったのです。
そして2011年ダニエル・シェヒトマンはノーベル化学賞を受賞しました。
詳細は弊社企業理念ページにも特集してあります!→こちら。
平成24年2月18日、19日に埼玉県朝霞市で開催される
ダニエル・シェヒトマンのノーベル化学賞を記念して
準結晶の発見から作られたタイリングアートなどが展示・紹介されます。
もちろん「結晶学キット」も展示されますので、ぜひご覧になって下さい。